熊本市北区と連携したPBL講義をご紹介

崇城大学は学生の課題解決能力向上を目的にPBL(Project Based Learning:課題解決型学習)に意欲的に取り組んでいます。

なかでも、崇城大学IoT・AIセンターは、崇城大学情報学部未来情報コースと連携して、センターと熊本市北区役所と締結した地域コミュニティ構築並びにイノベーション創発に向けた包括連携協定に基づいてPBLによる講義「異分野イノベーション基礎・応用」「地域メディア基礎・応用」を開講し、学生34名と北区役所職員が密接に連携した講義を進めてきました。

この講義には星合隆成センター長(情報学部教授)が提唱する地域活性化並びにイノベーション創発のための理論である地域コミュニティブランド(SCB)が用いられており、令和5年度には、理論に基づいて、北区に存在する15の地域課題のうち、「子どもの健全育成」「空き家利活用の促進」「新たな地域メディアの構築」「地域住民の世代間交流の促進」のという4つの課題解決に向けた地域コミュニティを構築し、活動を行ってきましたので、その様子をお知らせします。


1. 子どもの健全育成

1.1 北区子どもまつり2023への参加

2023年11月11日に植木中央公園運動施設にて、異分野イノベーション基礎・応用を受講する学生9名が、北区主催「北区子どもまつり2023」に参加し、来場した子どもたち120名を対象に絆創膏の廃材を利用したSDGsエコバッグ製作ワークショップを実施しました。

北区の中学生の企画力やコミュニケーション能力の向上を目的とした活動であるため、学生らはワークショップを運営するための地域コミュニティを構築し、コミュニティに参加した五霊中学校学芸部の生徒が本ワークショップの企画運営を主体的に担うことができるよう、また参加企業である株式会社リバテープ製薬とのコミュニケーションが円滑に進むよう支援をおこないました。

ワークショップ後のアンケートでは来場者40名からこのコミュニティに参加したいという声が上がり、五霊中学校生徒からも活動継続の声が上がったことから、2024年度早期からコミュニティの活動の活発化が期待されています。

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ワークショップの様子

 

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アンケートの様子

 

 

1.2 北区PTA連絡会定期研修会で学生が発表

熊本市北区PTA連絡会からの依頼に基づき、2024年1月28日に連絡会主催研修会において、北区の学校や企業、地域住民が連携し、地域の子どもたちの成長を支援する先進的な取り組みのひとつである北区子どもまつり2023における地域コミュニティ構築事例を発表しました。

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発表の様子

 

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発表スライド



2. 空き家の利活用の促進

2.1 国土交通省後援シンポジウムで発表

2023年10月21日に異分野イノベーション基礎・応用を受講する学生9名を代表して3名が、国土交通省後援事業「第2回熊本住まいリングフェア」において「空き家を資源化する取り組み」について発表しました。

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発表の様子

 

学生らは、熊本市北区役所職員や全国古民家再生協会熊本第一支部FAD建築事務所と連携した産官学コミュニティを構築して推進する、近年社会課題となっている空き家の利活用の解決に向けた「空き家データベース構築」「空き家を用いた地域の世代間交流拠点構築」の取り組みについて発表しました。

学生らは、ふたつの取り組みの構想段階で北区町内会長が保有する空き家や古民家を改装したカフェを視察し、空き家放置による問題点や利活用の手法について学びを進めました。空き家の実態とカフェとして生まれ変わった姿に触れた学生たちから生み出されたふたつの取り組みの継続と発展に対して北区住民から期待が寄せられています。
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空き家を視察

 

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古民家カフェ(シャイニーアウル熊本)を視察

 

2.2 北区主催町内自治会長研修会で学生が発表

2023年5月30日に北区役所植木まちづくりセンターで開催された令和5年度北区町内自治会長研修会で、学生代表1名が町内自治会長55名に対して空き家利活用の取り組みを発表しました。

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発表の様子

 

2.3 上天草市湯島の空き家再生イベント視察

全国空き家アドバイザー協議会熊本県上天草支部との連携に基づいて、2023年12月2日に上天草市の離島である湯島で開催された「DIY木の学校ゆしま」に学生3名が参加しました。増加する空き家を修理や手入れの方法を学ぶ場としてDIYを趣味とする市民に開放する企画を通して、空き家利活用の可能性について学びました。

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空き家を修理するDIYの様子



3. 新たな地域メディアの構築

3.1 書店及び中学校と連携した地域メディア構築実証実験を実施

これまでのウェブサイトや回覧板に加えて新たな地域情報共有手法を欲していた北区役所と連携し、地域の多様な資源をつなげることで地域情報を発信する地域メディアを構築する実証実験に学生8名が取り組みました。

具体的には北区の清水中学校放送部が校内放送やNHK放送コンクールへの挑戦を通して培った「アナウンス能力」と、TSUTAYA AV CLUB植木店のバラエティ豊かな「書籍やCDと店内放送設備」と、崇城大学IoT・AIセンター及びSCB放送局が有する「ICT技術」と、ラジオパーソナリティ水野直樹さんの「ナレーション技術」を北区役所のビジョンである「ず~っとすみたいわがまち北区」という5つの地域資源をつなげることで、書店の店内放送で書籍の朗読や地域ニュースを発信する試みです。

2023年12月25日から約1週間、店内放送をおこない、来店者に情報共有をおこないました。来店者の方々から面白い試みとの評価をいただき、今後は他の中学校や高校へと活動コミュニティを拡大していく予定です。

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TSUTAYA AV CLUB植木店長と学生

 

3.2 北区地域活性化動画コンテストの開催

動画を通じて地域の活動同士をつなげることを目的に、地域メディア基礎・応用を受講する学生45名が企画運営する動画コンテストを開催しました。2回目となる今回は同じ北区という行政区名を持つ熊本市と岡山市の両北区が連携したコンテストとし、両市を中心に前回を上回る26作品の応募がありました。

なかには、両市北区の公民館活動、防災ボランティア活動、子ども食堂活動をおこなう団体がそれぞれの課題やノウハウについて語り情報交換をおこなうオンライン座談会を動画化した作品など、区域を越えたつながりを感じることができました。

両市の北区をはじめ肥後銀行やJ:COM熊本、福祉作業所のクラウド熊本など多様な企業と学生らがコミュニティを構築し、全国12の北区をつなげたコンテストを開催することを目標に活動を継続していきます。


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芋ほりを通じた熊本市北区田底地域の活性化を取り上げたグランプリ動画



4. 地域住民の世代間交流の促進

4.1 地域活動を通した住民同士のつながりを可視化するアプリ「NETLINK」の開発

学生8名が地域住民の世代間交流を目的とする活動コミュニティの構築と、コミュニティが主催するイベント運営を支援するアプリのプロトタイプを開発しました。

活動が活発な区域を地図上に表示するなどの機能を有する本アプリをさらに機能拡張し、イベント運営やコミュニティメンバー間の連絡を効率化できるよう取り組みを続けます。

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アプリのイメージ画面

 

4.2 多世代交流型地域スポーツイベントの開催

北区のまちづくりビジョンである「ず~っと住みたいわがまち北区」の実現に向けては、地域住民間の相互理解が必要であることから、大人から子供まで気軽に楽しめる室内スポーツのスマートローリングを通した世代間交流イベントが、主催する

及び子ども会に対して北区役所職員と学生8名が協力することで発足した地域コミュニティによって開催されました。

2024年2月18日に弓削地域コミュニティセンターで開催されたイベントには高齢者12名を含むおとな28名と小学生を中心に子ども24名の計52名が参加しました。

スマートローリングを楽しんだ子どもたちへのアンケートでは、約半数の子どもたちが日ごろ話すことのない親以外の大人と交流したと回答するなど、一定の成果が見られました。
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イベントの様子



今後も、熊本市北区との包括連携協定に基づいたPBL講義を継続することで、地域コミュニティの構築と地域課題の解決に貢献してまいります。